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高3アカデミックリテラシーで明学大の先生による講義「教養原論」を行いました<第9回>

11月27日(金)5・6時間目、高校3年生推薦進学コースの授業「アカデミックリテラシー」で明治学院大学法学部グローバル法学科教授の高田寛先生が「教養原論」の講義をしてくださいました。

「教養原論」全体の講義テーマ「『他者』と向き合う」を元に、「ネット上の誹謗中傷について」と題して講義が行われました。生徒たちはまず、「誹謗中傷」、「表現の自由」などについて学びました。その後、ネットに自分の悪口が書かれていたときに、法的にはどういった対処方法があるかを知り、事例も確認しました。今後ネットに投稿する際に気を付けるべきことや、誹謗中傷を受けた人に救済を与える方法について、生徒たちは考えたようです。

生徒の意見・感想を紹介します。

  • 根も葉もない批判や心無い言葉をSNSに書き込むことによって、苦しむ人もいる。被害者とプライバシーのバランスが取れていない。法律という割には明確な基準がなくて意外だなと思った。コンピューターの使用人物を特定することが難しいというのは盲点だった。
  • ネット上の誹謗中傷を受けた人への救済として、裁判所がはじめから発信者情報の開示を担当していれば、被害者にとってコスト削減につながり、少しは手続きが楽になるのではないか。また、裁判所へ訴えると多額の費用がかかってしまうため、被害者側が裁判で勝利した際という条件付で加害者側が損害賠償とは別に裁判費用を負担するようにすれば良いと考える。これにより、加害者が負担する金額が多額になる。SNS等に上がった情報が完全には消去されにくいことや、負担金額の多さが誹謗中傷を防止する効果を多少は持つだろうから、決してやり過ぎではないと考える。
  • 実際の事例から開示請求等が簡単に行えることではないことが分かった。これから生きていく上で必要な知識なので、もう少し理解したいと思った。
  • 誹謗中傷をしてはいけないことは当たり前なのに、表現の自由だから発信しても良い状況があり矛盾が生じている。相手が傷つくような言葉は規定を作って制限し、もし規定に合わない言葉が使われていた場合は運営がすぐに対処できるようにし、発信者への処罰も行うようにするべきである。
  • 批判をしても表現の自由に守られているため、罪に問われずに言いたいことを言える。また、最近ではSNSの使用が広まったことで、個人の間で相手を誹謗中傷することも一つの表現の自由だと考えられるようになった。SNSは簡単に発信できて、プライバシーも守られているため、利用しやすいのが特徴だ。しかし、それによって軽率な発言がトラブルを生みやすい。顔がわからないことを良いことに、人のことを罵倒したり、偽の噂を流したりすることが平気でできてしまう。また、厄介なことに被害者は被疑者が証拠を消してしまえば、訴えることができない。発言することはたった一瞬でできるが、それを読んだ人は一生の傷を抱えてしまうかもしれない。そのことを考えてSNSを利用しなければいけないと感じた。
  • 発信者情報開示請求の手続きを簡略化すべきであると考える。発信者情報開示請求の手続きをする場合には現在、最低でも3回は裁判を起こし、すべて勝訴しなければならない。勝訴ということは情報の開示を求めるのに十分な理由が存在すると判断されたのだから、IPアドレスの入手と情報開示請求はセットにしておくべき。裁判の回数を減少させることによって、時間やお金の問題が減少し、現在よりも泣き寝入りする人の数が減少すると考える。プライバシーな情報であるためそう簡単に個人情報が流失されては困るが、被害者の手助けを真摯に行う対策をするべきである。
  • ネット上で誹謗中傷を受けた際の被害者側への救済と、加害者のプライバシー保護のバランスが取れているのかどうかという論点はとても難しかった。誹謗中傷が原因で命を絶つ若者が増えている現代で、ネット中傷に関する法律は改めて考え直されるべきだと感じた。
  • 匿名で書き込まれた誹謗中傷の発信者の情報はより簡単に開示できる法律を作るべきだと考える。また、発信者情報開示請求をより早く簡単にし、開示したプロバイダへの責任も問わないようにするべきである。加害者を特定し賠償金を支払わせることで、1人でも多くの被害者の救済につながるだろう。
  • 誹謗中傷を受けた被害者側がプロバイダに連絡し、発信者情報開示請求をすることができるというのは、以前から知っていた。しかし、開示される情報は思っているよりも多かった。また、電話番号の開示は、芸能人の事件があったため行われるようになったことに驚いた。今は誰もがネットに書き込めたり、閲覧できたりすることはとても大きなメリットだと思う。これらを間違って使用する人が少なくなるといいと思う。
  • 表現の自由は、人を傷つけない程度の言葉の表現であるべきだ。しかし皆がそのような表現をすることはかなり難しく、法律も簡単に変えられるものではない。よって、誹謗中傷に関する専門の相談所を設けるべきだ。誹謗中傷の対策に詳しい人材と、不安や心の内を気兼ねなく話せるカウンセラーで被害者に寄り添う体制を作る。そうすることで、被害者が一人で抱え込み、死に追い込まれるリスクをなくすのだ。被害者救済のための手段はすぐに実現していくべきだ。
  • 確かにプロバイダ責任法4条1項の要件の厳格性が圧倒的に原告側の壁として立ちはだかっていることは然るべき事実かもしれない。しかし、蓋然性の基準を緩やかにしても結局は個人の表現の自由を縛ることに繋がってしまうと考える。私はプロバイダ側にはまだ自主努力の余地が残っていると思う。前回とは少し別の視点からネット上での権利侵害行為について考えたことで、インターネットの匿名性に関する法的解決の難しさを痛感した。
  • 「誹謗中傷を受けた際は被害届を出したほうがいい」と思う人が増えてきていると思う。しかし、多くのケースでは、被害者が発信者情報開示請求手続きを通じて犯人が特定してから初めて警察が動くため、被害届を出してもなかなか対応されないという問題点がある。そこで、警察に誹謗中傷を担当する部署を置くべきだと考えた。また、匿名アカウントであっても個人が特定できるような、発信者情報開示請求へのハードルが下がれば、より早急に事件を解決することができるだろう。今後、誹謗中傷によって命を落とすことがない世の中になってほしい。
  • 最近、ネット上での匿名による悪口の投稿などが増えている。しかし、表現の自由があるため侮辱する投稿を完全にはなくすことはできないだろう。難しい判断になると思うが、この問題に対して発信者情報開示請求権があることは重要だと思った。また、現在SNSを利用しているので、いつか自分の身におきるかもしれないと感じた。