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高3アカデミックリテラシーで明学大の先生による講義「教養原論」を行いました<第8回>

11月25日(金)、高校3年生推薦進学コースの授業「アカデミックリテラシー」で、明治学院大学社会学部社会学科教授の野沢慎司先生が対面で「教養原論」の講義をしてくださいました。

「教養原論」全体の講義テーマ「『他者』と向き合う」を元に、「『他者』という視点から親子を考える」と題して講義が行われました。生徒たちはまず、初めて出会う他者である家族と、「ステップファミリー」について学びました。そのあと、映像で当事者の話を聞くことで、家族について、そして自分の家族との向き合い方について考えるきっかけになったようです。

生徒の意見・感想を紹介します。

  • 今まで、家族というと自分の両親と兄弟を思い浮かべていました。しかし両親にとっては両親の両親・兄弟姉妹も、私も家族です。家族はひとつのくくりとして考えられがちであるけれど、本当は境界の明確な閉じた集団ではなく、定義が難しいということを学びました。また、東日本大地震で母親を亡くした女の子の映像を見て、家族としての「他者」と向き合うことの難しさをとても感じました。向き合うには相手を理解しようとするだけでなく、自分とも向き合わなければならないのだと学びました。
  • 家族とは何にも言い難い唯一無二の存在であると感じた。だからこそ封建的な関係にならざるをえないと思った。継親の向き合い方は本当に難しいと思う。価値観の違いによりお互いの考え方は一生合わない。しかし、合わないなりに違う新たな人間関係を築いていかなければならないと感じた。生みの親が生きていることは本当に凄いことだし、感謝しなければならない。家族という概念は当たり前に感じる関係だからこそ、一番難しい関係であると思う。
  • 「家族は1番身近にいて、理解しているようで実は理解するのが1番難しい」という先生の言葉に深く共感した。今の自分の家族の形を理解し、受け入れていこうと努力する同世代の子供たちを見て、私も自分の家族はどういう人なのかしっかりと考えていかなければならないし、それが家族の一員としての責任と感じた。
  • 成人カップルの少なくともどちらかが以前の関係で生まれた子どもを持っている家族をステップファミリーということを初めて知りました。日本では離婚後、親権者は子の母がなるケースが大半であり、そこには、日本では母が子育てをするといった固定観念が関係しているのではないかと思いました。
  • 昔見たドラマに、新しいお母さんを紹介する場面がありましたが、何の疑問も感じていませんでした。ドラマの中では娘が継母をなかなか受け入れることができずに葛藤したり親子の間で思いがすれ違ったりという場面はありました。今回の講義を受けてからドラマを振り返ると、今の日本がいかにステップファミリーに対しての考え方が浅いかを思い知らされました。お互いにいい関係を築こうと努力した分だけストレスになるというのがとても難しいなと思いました。どちらも一生懸命で、善意からくる行動だからこそこの問題の解決は大変だと感じました。アメリカの事例などの説明から、今の日本に定着している家族や親子の形は母・父・子だけだという考え方を変えることが、解決への一歩だと感じました。
  • 拡張型ネットワークの考え方だと、継母は、無理にお母さんにならなくて良い、子供も無理に思わなくて良いなど、お互いに肩の力を抜いた関係を築ける。子供を中心に考えることで離婚した後も子供は親と会えるというのは、子供にとっては本当に嬉しいことだと思う。これからもっとこの考え方が広まっていってほしい。
  • 親がいなくなることを想像することはできないと言ってもいい。親に頼り、いることが当たり前で、いなくてはならない存在となっている。しかし、そのような自分でも親にも言えないこと、言い難いことは存在する。今回の講義を受けて、その気持ちこそ「親も一番向き合いにくい他人」であるということの証拠なのかもしれないと感じた。また、親の形、子の在り方も様々で、多様な形がある家族という一つのまとまりは、思っていた以上に複雑であり、深く考えるべきだと気付かされた。改めて家族とは何か、親とは何かということを深く考えていきたい。さらに、家族に居にくさを感じる方たちがいることを心にとめ、どう向き合っていくべきなのか、捉え方の転換を考える重要性を痛感した。
  • 父と母が別れても私にとっては変わらず父と母だという気持ちや、「新しい」父または母を受け入れることは難しいということがわかりました。継続モデルのように繋がりが切れず、継父や継母を「新しい」父、母としてではないポジションの家族として受け入れることができればと考えました。1対1の関係づくりの重要さがよく分かりました。
  • 親も子供もうまくやりたい気持ちはあるのにうまくいかない感じがすごくもどかしく感じた。私は親に甘える時間も自慢して褒めてもらえる時間も十分にあった。しかし映像に出てきた子供にはその時間がなく、我慢ばかりしてきたのだと思うと心が苦しくなったし、怒りをぶつけることなく抱え込んでしまう彼女を大人だと感じた。また、「今のお母さんはお父さんと前のお母さんが選んだ人だと思っている」という言葉もとても印象に残った。
  • 離婚する人が多くいることは報道などを通じて知っていましたが、その方にも家族がいるということは見逃していました。しかしそのことこそが重要な問題であり、子どもも親も、それぞれの苦しみを私たちが認識し、向き合わなければいけないと思いました。これは個々の家族の問題でもありますが、戸籍などの社会の構造も関わっています。過ごしやすく、共存できる社会を目指すため、そのような苦しみ、悩みの根本には何があるのかを見つめ、行動していきたいです。
  • 家族は他人であるけれどかけがえのない存在であることを感じ、様々な家族のあり方を知りました。再婚し子供の継親となっても、親としての完璧を求めたいという強い気持ちから子供との関係が悪化してしまうことがあり、お互いにとても難しい問題であると感じました。子供への接し方を変えることは良い関係を築くために大切であると考えさせられました。ステップファミリーの意味を理解し、社会にもっと浸透させていくべきであると感じました。
  • 「家族」という関係は、あくまで「他者」の集まりであり、一つの形に固定されないのだと知った。親の再婚によって構築された家族である「ステップファミリー」。子は、新たな継親を受け入れられず、そのため気を遣ったり疲れたりという葛藤を抱えている。対して、継親も早く信頼関係を築きたいという善意の一心が、両者の衝突を引き起こしてしまうのだ。映像では、産んでくれた「母」も、育ててくれた「母」も尊重したいという思いが、家族の前で亡くなった母のことについて語らない理由となっていた。新たな母の歩み寄りによって、家族にとって一番良い形の家族になれるよう願いたい。
  • 新しい親という概念、代替モデルが家族という括りを作り、継母、継父と子どもの間に溝を作っていると感じました。このような考えを変えることが大切だと感じたと同時に、このような固定観念がある以上、日本の法律や制度を変えて昔からある概念や意識を変えないといけないと感じました。様々な問題に直面した時、向かい合ってくれる自分の話を聞いて共感してくれる「他者」は必要だということを学びました。
  • 家族のことを他人だとあまり思わないからこそ、友達には言わないような無神経なことを言ってお互い傷つけ合うこともあります。ステップファミリー家族のすれ違いがとてももどかしくて、誰も悪くないからこそ難しい。新しいお父さん、お母さんって言いがちだけど、前の親御さんはいなくなってしまったということ?という先生の問いに、確かにそうだなと思いました。
  • 2人の親がいたら普通の家族と思われてしまうけれど、実際は様々な形の家族が存在しているということをもっと多くの人が理解するべきだと感じました。継親との関係で苦しむ子どもが減って欲しいのと同時に、このような問題を誰かに話しにくかったり、抵抗が感じられたりするようになってほしくないなと思いました。